「もっと肩の力を抜いて」「手首を柔らかく脱力して」 ピアノのレッスンで何度も言われるこの言葉。言われるたびに意識はするものの、気づけばまた体に力が入ってガチガチに……そんな経験はありませんか?
実は、「脱力しよう」と意識すればするほど、人間は逆に力が入ってしまう生き物です。 なぜなら、脱力とは意識でコントロールするものではなく、「余計な力が入らない姿勢(土台)」を先に作ってあげることで、結果として勝手に生まれるものだからです。
今回は、日本人がかつて寺子屋で徹底していた「立腰(りつよう)」という優れた知恵をヒントに、解剖学的な視点から「一瞬で演奏が変わる正しい座り方」を解説します。
江戸の寺子屋が証明していた「腰を立てる(立腰)」の科学
なぜ座り方がこれほど重要なのでしょうか。その答えは、江戸時代の「寺子屋」にあります。
かつて日本の子供たちは、寺子屋で「読み書き」や「そろばん」を習う際、先生から「腰を立てなさい(立腰)」と厳しく指導されていました。これは単なるマナー(礼儀作法)ではありません。
腰を立てることで、「上半身の無駄な筋肉の緊張が抜け、脳への血流・神経伝達がスムーズになり、集中力が極限まで高まる」という、極めて理にかなった身体操作の知恵だったのです。
これを現代の解剖学的な視点で紐解くと、「座骨(ざこつ)を椅子の面に対して垂直に突き刺すように座る」ということ。座骨という強固な土台の上に背骨をまっすぐ積み上げることで、筋肉で体を支える必要がなくなるため、上半身が完全に「リラックス(脱力)」します。
姿勢が整うことで3つの効果が期待できる
1. 土台の安定
体幹のブレがゼロになるミスタッチ減る。鍵盤を捉える位置がズレなくなる。
2. 腕の解放
肩甲骨がストンと正しい位置に収まる腕が軽くなり、大きく動かせる。長時間の練習でも肩がこらなくなる。
3. 神経の開通
首や肩の緊張が取れ、神経伝達が高速化する指先がスムーズに、速く回るようになる。
特に3つ目の指先がスムーズに動く、とう点は驚きですよね。実は、肩や首がガチガチだと、脳から指先への指令(神経伝達)が途中でブロックされてしまいます。つまり、「指が動かないのは、指の筋肉のせいではなく、座り方のせいで神経の通り道が塞がれているから」かもしれないのです。
練習では姿勢を意識する習慣を身に着けよう
難しいパッセージや速いフレーズがどうしても転んでしまう、あるいは特定の箇所だけ間違ってしまう。それは、指先だけのテクニックの問題ではなく「座り方がズレている」というケースが非常によくあります。行き詰まったら、まずは座り方の点検に戻りましょう。
「自分の座り方が本当に合っているか見てほしい」「どうしても肩に力が入ってしまう原因を突き止めたい」という方へ。
当スクールでは、公式LINEにて「添削レポート」を実施しています。 ご自身の演奏(または座っている姿勢)をスマホで撮影し、YouTube(限定公開)でお送りいただくだけで、講師の望月未希矢がマンツーマンで具体的な改善ポイントをまとめた「PDFレポート」をお届けします。
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